房総史料調査会

房総史料調査会

当会について

房総史料調査会は、千葉県をフィールドする史料調査や研究活動を行うことを目的として、1986年に設立された民間有志の団体です(設立の理念は「房総史料調査会」の設立にあたって[PDF:122KB]を参照)。千葉県在住あるいはフィールドとしている研究者・学生、博物館・自治体史職員、学校教員など様々な立場の人たちから構成されています。

主な活動としては、1年に4回程度実施している現地での史料調査、2回程度開催している研究例会があります。それらの成果は、随時刊行している機関誌『紙魚の友』に掲載しています。これまでに、茂原・東金・君津・館山・香取・いすみ・旭の各市や睦沢・大多喜町などで史料群の調査を終えています。会員は、各史料群の目録・現状記録・筆写・写真などを所定の手続きをふむことによって利用できます。

なお、現在の史料調査において必須となっている「現状記録」を用いた草分け的な存在です。研究活動の一端は『近世房総地域史研究』(1993、東大出版会)となって結実しています。会の運営は、有志からなる「年寄会」が行っています。

活動紹介

当会に興味を持たれた方にむけて、房総史料調査会の普段の活動につき、①調査と②例会に分けてご紹介します。

①調査

 房総地域で年2~4回、主に2泊3日の期間で行われています。

 日本近世・近現代史を研究するには、地域で伝えられてきた膨大な史料(いわゆる「古文書」を想像してください)が欠かせません。そして史料を研究、あるいは展示・学習に活用するためには、一体どのような史料があるのか(いつ・誰が書いたのか、どのような内容か等々)を確認し、把握しなければなりません。しかし、旧家・寺社の蔵などに保存されている史料は、現代の日常生活で使う機会がほとんど無いこともあって箱や棚に詰め込んだ状態で仕舞われていることが多く、一見雑多な紙の束。すぐに内容を把握することが難しくなっています。そこで、史料調査(史料の整理)が必要になります。

 調査の第1段階として行われるのが「現状記録」という作業です(房総史料調査会はこの作業を取り入れた草分け的な存在です)。箱などに仕舞われている史料を1点1点取り出し、表題と大まかな特徴を記録し、番号を付して封筒に入れます。こうすることで、史料を番号で管理し、情報をデータ化することが可能になります。また、劣化しやすい一般の酸性紙封筒ではなく中性紙封筒を使用し、古文書専用の箱に収納し、防虫剤を入れるといった工夫を行うことで、今後の史料保存に適切な環境の整備も行っています。

 もちろん、どのような史料が同じ箱に入れられてきたのか、箱の中での史料の並べ方はどうなっていたのか、といった調査以前の保管方法も重要な情報です。封筒詰めを行うとどうしても調査以前の保管方法は分からなくなってしまいますから、作業の様子をビデオカメラで撮影することで記録が残るようにしています。現状記録はどのような史料が含まれているのか明らかになる最初の機会ですので、面白い史料に出会った時は盛り上がります。

 続いての段階が「目録作成」という作業です。先程の現状記録で封筒詰めされた史料を、再び1点1点、今度はより丁寧に読んでいきます。そして目録用紙に表題・内容・作成者・宛先・年代・形態・点数を記録していくのですが、この時に現状記録で付した番号を一緒に記録しておくことがポイントです。目録用紙に記された内容や年代などの情報から興味のある史料を見つけた際に、一緒に書かれた番号を確認して同じ番号の封筒を探すことで、目的の史料の現物へ容易にたどり着くことができるようになります。こうして目録が完成すると、史料調査の基本的な作業が終了します。ちなみに、房総史料調査会が作成した目録は会員向けに公開されており、会員は閲覧することが可能です。

 以上が調査の大まかな流れになります。ここまでお読みになって、自分にいきなり記録が取れるほど史料が読めるのか、不安に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、心配はご無用です。房総史料調査会では史料調査が初めての方のご参加も歓迎しています。史料の内容を把握し記録するためにはくずし字を読む必要がありますが、自信のない場合は封筒詰めなど文字を読む必要の無い作業を担当したり、経験者の指導の下で史料を書き写す作業を行いつつくずし字を学んだりと、各個人の能力・経験に応じた作業に携わることができます。

 さらに房総史料調査会の調査では、一連の史料調査の作業の他に、重要な史料の写真撮影やフィールドワーク、既に調査を行った史料を用いた小報告なども行っています。フィールドワークでは史料に登場する場所を実際に歩いて目にすることで、より具体的な地域イメージを持って調査に臨むことができます。小報告には調査地にお住まいの方々にご参加いただくこともあり、地元の歴史の一端をご紹介し、情報交換を行う場ともなっています。

 現在調査を実施している場所の一覧・最新の調査日程は史料調査ページをご覧ください。

②例会

 研究者の方などを報告者にお招きして行われる研究報告会で、年2回程度実施されています。房総地域の歴史に関する報告もあれば、史料の保存と管理=アーカイブス関係の報告もあり、様々な関心を持つ参加者の交流の場となっています。報告の後は質疑応答が行われ、毎回活発な議論が交わされています。また、報告で取り上げられた場所を会場として、フィールドワークや博物館見学を組み合わせた例会が行われることもあります。

 過去の報告者・タイトル一覧は例会ページをご覧ください。


以上の活動は、会員の方も非会員の方も、研究者も学生も一般の方も、どなたでもご参加いただけます。ご興味を持ってくださった方は、どうぞお気軽にお申し込みください

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